あなたは筋トレとストレッチをどのような順番でおこなっていますか?
順番まで考えておこなっている人は少ないかも知れません。しかし、おこなう順番次第で、実は効果が大きく変わる事があります。それは神経の働きが大きく関係しています。目的の筋肉が強く収縮する事で、次の動きの際も、その筋肉が強い力を出しやすくなりますし、目的の筋肉をしっかり緩めて伸ばしておけば、次の動きの際も、その筋肉の余分な力みも無くなります。
特に、直前におこなった筋トレやストレッチは、次の種目に大きな影響を与えます。その事が、場合によってはデメリットにもなりますし、逆に、ここをしっかり理解し効果的な順番でおこなえば、筋トレ、ストレッチの質を何倍にも上げる事も可能です。
ここから、どのような事を意識して順番を決めていくと効果的なのか、それを一緒に見ていきましょう。
筋トレとストレッチの順番①それによるメリット、デメリットとは?
筋トレやストレッチは、順番も考えておこなう事が大切です。
例えば、1日で全身をトレーニングする場合、おこなう順番としては、大きい筋肉のトレーニングから始めて、小さい筋肉のトレーニングへと進むのが一般的です。(この場合の大きい筋肉とは、大胸筋や広背筋、大殿筋などの、広い範囲で付着している筋肉の事。それと比べると腕の筋肉などは小さい筋肉と言えます。)
その理由として、大きい筋肉は基本的に体幹部に近いところに付着していて、股関節や肩甲骨、骨盤の動きに連動して動きます。大きい筋肉をトレーニングする場合、多くの種目で、肘や膝関節の動きの入る為、小さい筋肉も一緒に使う事になります。先に小さい筋肉からトレーニングを始めてしまうと、大きい筋肉をトレーニングする時に、すでに小さい筋肉が疲労してしまって、それが原因で目的の大きい筋肉を充分に反復刺激ができなくなる事があるからです。
動きにおいても、大きい筋肉というのは発揮できる力も強く、動作の主動筋として働く事が多い為、当然鍛える優先順位としても高くなります。
例えば、”押す”動きで、一番力を発揮させたい筋肉が大胸筋ですが、基本的に肩関節(鎖骨や肩甲骨)だけでなく、肘関節の曲げ伸ばし動作も入る為、先に肘の曲げ伸ばしをおこなう筋トレをしてしまうと、腕の筋肉が疲労してしまって充分に胸に力を入れる事ができません。ですので、”腕”(小さい筋肉)より先に”胸”(大きい筋肉)の筋肉をトレーニングする事が大切です。
順番としては他にも、上半身トレーニングから下半身トレーニングをおこなうという考え方もあります。
それは、いきなり下半身から高重量でトレーニングをおこなうと、血液が脚に行き過ぎてしまって貧血になりやすい為、先に上半身のトレーニングで血液を頭の方に送っておくという理由からです。
他にも、体の中心と言えるコア(深部)が一番大事であるという考えから、インナーマッスルから活性化させておいて、表層のアウターマッスルを鍛えていくやり方もあります。これは、機能的な使い方の為に大事な考え方だと言えます。
また、それぞれの部位をしっかり追い込むのであれば、部位毎に日にちを分けてトレーニングするのが一般的ですが、1日で全身の筋肉をトレーニングするのであれば順番は、一番鍛えたい部位からおこなうのがベターです。後半の種目になる程、疲れも出てしまい筋トレの質が低下するからです。
他にも、プッシュ(押す)系とプル(引く)系で分けるやり方もあります。プッシュ系のトレーニングは、主に押す動作で働く筋肉群の事で、大胸筋、腹直筋、上腕三頭筋、大腿四頭筋などを指し、プル系は主に引く動作で働く、広背筋や僧帽筋、上腕二頭筋、ハムストリングスなどの事です。これを同じ分類として、先にまとめてトレーニングする考え方です。
例えば、大胸筋は腹筋と共に骨盤が後傾する事で最大限の力発揮をしますが、その際に背中の筋肉は”拮抗筋”(縮める筋肉に対して伸ばされる筋肉)になります。目的の筋肉(主働筋)を鍛える場合、拮抗筋というブレーキを外す事も重要なポイントです。上半身をまとめてトレーニングする場合、直前に行った背中の筋トレで拮抗筋の力が抜けなくなり十分な胸の収縮ができない事もあるので、その際にはプッシュ系とプル系で分けると効果的だと言えます。
もしプッシュ系とプル系のトレーニングをまとめておこなうのであれば、少し時間を空けてからおこなうか、一度ストレッチを挟む事でリセットすることは可能です。それだけで筋肉の反応は変わります。
このように、トレーニングの順番によるメリット、デメリットがありますので、把握してからおこないましょう。
筋トレとストレッチの順番②事前のエクササイズで質が変わる?
プッシュアップを行う際に、体幹の筋肉、例えば胸の筋肉を使いたいのに、どうしても腕の力ばかりに頼ってしまうような事があります。この場合、プッシュアップを、”肘を伸ばして身体を持ち上げるという意識が高すぎる事が考えられます。肘を伸ばす為の筋肉は、力こぶの裏側の筋肉の上腕三頭筋です。力こぶの筋肉である上腕二頭筋は、脇の下の前側で大胸筋と繋がるのに対して、上腕三頭筋は脇の下の裏側で、広背筋と繋がる筋肉です。肘を伸ばして身体を持ち上げるような意識を持つほど、背中側の筋肉が共に収縮してしまい、お腹や胸の筋肉に力が入りにくくなってしまいます。
それを改善するのも、筋トレ、ストレッチの順番を変える事が効果的な場合があります。例えば、プッシュアップをおこなう前に、胸の前で手と手を押し合う、またはボールなどを潰すエクササイズをおこないます。このエクササイズは、肘を曲げ伸ばしすることなく、腕の付け根の肩関節(または鎖骨や肩甲骨の動き)で”押す”事ができるので、上腕三頭筋が頑張ることなく、効果的に大胸筋に力が入ります。
また、肩の関節より肩甲骨から腕を動かす事で、大胸筋だけでなく、腹直筋や腹斜筋、前鋸筋など”押す”動きに関わる体幹の筋肉を多く働かせる事ができます。身体は直前に行ったエクササイズで神経が活性化され、その感覚がしばらく残る為、その後におこなうプッシュアップが、腕に頼りすぎない、体幹を使ったものにできます。動きにおける主動筋(その動きで一番力を発揮したい筋肉)を、事前に活性化させておくという事です。
スクワットの場合も、しゃがむ動作がひざの筋肉に頼りすぎてしまって、上手くお尻の筋肉を使えていないのであれば、事前に股関節のストレッチやエクササイズを入れておくのが効果的です。ポイントは動きの中での主働筋(メインとなる筋肉)がどの筋肉なのかを把握して、その筋肉、または関節を活性化させる事です。これだけで、上手く出来なかった動きや、使えなかった筋肉も使えるようになっていきます。
筋トレとストレッチの順番③ストレッチで終わるのは良くない?
脳は筋肉に、縮めという司令は遅れても、伸ばせという司令は送れません。
基本的に、目的の筋肉の裏側についている筋肉が縮む事で、”結果的に伸ばされる”のが筋肉です。筋トレにおいては、あくまでも筋肉が力を発揮しながら伸ばされていく事はあっても、自らの意志で伸びている訳ではありません。
それらを踏まえて、筋肉のコンディションを整える上で考えておきたいのが、おこなう順番です。
先ずは、筋肉が適切に伸び縮み出来るどうかを確認します。硬いままの筋肉では上手くストレッチできないので、筋肉を緩める事を最初におこないます。 肌の上から筋肉を圧迫したり、また擦ったりなど、テニスボールやフォームローラー、手などを使ってマッサージをおこないます。それによって筋肉が緩んできたら、一度筋肉を大きく動かしてみます。縮むのが筋肉の役割である為、筋肉を縮める事で反対側の筋肉を”伸ばす”事になります。
その後、本格的にストレッチをおこない(伸ばす)、緩まった筋肉を伸ばしていき可動域を確認します。
伸びが少なく感じた場合は、まだまだ筋肉が緩んでいない証拠です。一度マッサージなどに戻って緩めた後、再度ストレッチをおこないます。緩まっていない筋肉を無理やり伸ばしても、筋肉は嫌がって(痛いと感じる)逆に緊張してしまい、上手く伸びてくれません。先ずは緩める事、その後収縮によって動きを確認し(反対側の筋肉のストレッチにもなります)、または弛緩によるストレッチの順番でおこなう事が大切です。
その際、筋肉を伸ばす大事な考え方としては、目的の筋肉だけを伸ばすのと、全体としての連動で伸ばす考え方があります。
筋肉は何層にも積み重なってついていることもあり、伸ばしたい筋肉と関係のある筋肉は、一緒に伸ばした方が全体としての可動域がでます。特にスポーツ動作のように動きの中での可動域を大きくとりたい時は、1個の筋肉だけではなく、”全体として伸ばす”事が大切です。しかし、一般的には可動域を上げていく為のストレッチというのは、目的の筋肉を単体を伸ばしていくという考え方です。この場合は、あえて”連動させない”事も一つの方法です。ただ連動させないという事は、体の仕組み的には不自然だとも言えるので、筋肉の伸ばし過ぎには注意が必要です。
そして、緩める、伸ばす、までで終わらず、必ず筋トレ動作までおこなって、筋肉に力が入る事をしっかり確認しておく事も大切です。コンディションの良い筋肉とは、普段は柔らかくスムーズに伸び縮みできて、瞬時に強い力も発揮できる、そのような状態にある筋肉が理想と言えます。
まとめ
ここまで、筋トレとストレッチをおこなう順番を工夫する事でのメリットについて見てきました。
先ずは、筋トレの際の鍛える筋肉の順番についてです。基本的に身体の中でも大きい筋肉が、強い力を発揮する為に使いたい筋肉になるので、優先的に鍛えたい筋肉なのですが、トレーニング種目の多くが、小さい筋肉が動く関節も一緒に動かす事になる為、先に小さい筋肉から鍛えてしまうと、いざ大きい筋肉を鍛える時に、小さい筋肉が疲れてしまって、反復動作が出来なくなってしまう事があります。ですので、一日で多くの部位をトレーニングする場合は、体幹部に近い大きい筋肉である胸や背中、お尻を鍛えてから、肘や膝の曲げ伸ばしに関わる腕や脚の筋トレに進むのが基本です。また、高重量のウエイトトレーニングであれば、脚の筋トレからだと血液が下に下がり過ぎ貧血の心配もあるので、上半身の筋トレからおこなうのも一つの方法です。他にも、プッシュ(押す)系とプル(引く)系の種目で分けて、それらをまとめてトレーニングする事で拮抗筋の無駄な力みを減らすのも効果的です。
また、筋トレで、どうしても目的の筋肉を上手く使えないという方は、順番を、多くの関節を動かすトレーニングよりも先に、少ない関節の動きで目的の筋肉を使うような種目からおこなう事もおススメです。それによって活性化した目的の筋肉が率先して働いてくれるようになります。
ストレッチに関しても、順番は大切です。先ずは解して緩める、その後に筋肉を動かして縮める動きを確認し、その後、本格的にストレッチで伸ばす、等の順番でおこなうとコンディションを整える事ができます。その際、先ずは複数の関節を動かしながら可動域を確認しながら、足らない分を単関節のストレッチで伸ばしていきます。ただ、その場合は伸ばし過ぎには十分注意しておこないましょう。このように、筋トレ、ストレッチなどのエクササイズは、順番を変えるだけでも効果が大きく変わります。ぜひ工夫しておこなっていきましょう。
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この記事を書いた人岐阜市のパーソナルジム・トレーニングスタジオACTION★ [ アクション ]代表トレーナー
渡辺康二

主な資格
- NESTA-PFT(パーソナルフィットネストレーナー)全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会
- ・TRXサスペンショントレーナーインストラクター
- ・加圧トレーニングインストラクター
- パーソナルジムやピラティス、ヨガの経験からオリジナルのストレッチを提案しています。
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