骨盤と肩甲骨は動きのカギを握る?

骨盤と肩甲骨は動きのカギを握る?

人間の身体で、四肢を除いた胴体の部分の事を体幹と呼んでいます。その体幹部の背中側に付いている肩甲骨は、体幹ではなく腕の一部として定義づけられています。実は、腕は、鎖骨から始まり、肩甲骨、上腕骨へと繋がっていて、肩甲骨というのは体幹部の後ろをスライドして動く腕の一部であると言えます。
腕を肩の関節から動かした場合は、主に働くのが肩の筋肉三角筋や上腕二頭筋、上腕三頭筋になりますが、腕を肩甲骨から動かした場合は胸や背中などの大きな筋肉がしっかり働きます。肩甲骨は背中の筋肉で繋がる骨盤と連動して動くように出来ている為、肩甲骨をスムーズに動かす為には、連動した骨盤の動きが不可欠です。そういった意味でも、骨盤は動きにおいて重要な働きをします。ここから、骨盤の動きがどのように重要なのか、その動きの仕組み、肩甲骨との関係性、また、骨盤周辺の大事な筋肉について見ていきましょう。

骨盤と肩甲骨は動かし方にはルールがある?

よく、スポーツの世界で腰を回せ!や、腰を切れ!などと言われる事がありますが、ここで言う”腰”とは骨盤の事を指している場合が多いです。骨盤の中にある、おへその数センチ下の位置の事を、スポーツや武道の世界では”丹田”と呼び、ここをとても重要視していますが、それは、この場所が人間の重さの中心に当たるからだと考えられます。そういう意味で、骨盤の動きを深く理解する事はとても大切です。そこで、骨盤から見た、歩く事について考えてみましょう。
先ず、前に進む為には、当然重心を前に運ぶ必要がありますので、骨盤は前傾させる必要があります。骨盤が後傾していては、重心が後ろに残ってしまう為、前に進むエネルギーが生まれにくいからです。
また、骨盤は肩甲骨と連動性がある為、骨盤の前傾で前に進むのであれば、胸を開いて肩甲骨を寄せるとスムーズに骨盤が前傾し重心を前に運びやすくなります。
次に、球技などのスポーツ動作ではどうでしょうか?ゴルフやテニス、野球などのスイング動作も骨盤の動きがポイントです。腰という言葉を使ってしまうと、ついウエスト(お腹)だけを捻ってしまいがちですが、骨盤ごと回す事で、より体重をボールに乗せる事ができます。また、筋トレやストレッチの場合であっても、骨盤の向きはしっかり把握しておく必要があります。
筋トレの際に重要なポインの一つに、筋肉を最大収縮させる事や(基本的にそれが最大筋力の発揮になります)、最大限ストレッチさせる事がありますが、(伸ばされる刺激が筋肉にダメージを与え、筋肥大に繋がりやすくなります。)骨盤の向きで伸び具合も縮み具合も大きく違ってくるからです。
当然、関節可動域をあげる為のストレッチも、骨盤の向きが大きく関係します。筋肉というのは、筋肉どうしが繋がっているので、胸、お腹、内ももなどの体の前面をストレッチするなら骨盤の前傾が大切ですし、逆に背中側をストレッチするには骨盤の後傾が大切になります。


骨盤と肩甲骨は動かしやすい方から動かす

筋肉には関節から骨を動かすという大切な役割があります。その筋肉が収縮する事により、人間の身体は骨が動いて複雑な動きもおこなう事ができます。解剖学的には、腕は上腕骨からでは無く、肩甲骨、鎖骨を含めたものになる為、鎖骨、肩甲骨、そして連動して動く骨盤の動きがあることで、より機能的な四肢(腕、脚の事)の動きが可能になります。(背中の筋肉の繋がりから、肩甲骨と骨盤は、基本的に連動して動くように作られています。)
例えば、プッシュアップであれば、身体を沈めていく際に、肩甲骨を内側に寄せる事で、肩関節が引っかかることなく、よりスムーズに深く沈む事ができますし、懸垂の動きの場合でも、身体を持ち上げる際に、肩甲骨を下方回旋させる事で、首の下まで身体を持ち上げる事が出来ます。これらの動きをするうえで重要になってくるのが、身体の動かす順番です。
肩甲骨を動かす場合は、直接負荷がかからない骨盤の方から動かすと、連動させやすくなります。胸の筋肉でおこなうプッシュアップであれば、両手が床についている為、腕に力が入りやすく、結果的に肩甲骨周りは固まりやすいですが、骨盤の方は、腹筋周りにはもちろん力が入りますが、腕ほどではありません。ですので、先に骨盤を後傾させる事で胸の筋肉を収縮しやすくする事ができます。懸垂の場合でも、直接負荷がかかるのは骨盤より肩甲骨周りです。この場合も、上がる際に動かしやすいのは骨盤になります。先に骨盤を前傾させれば、背中の力を入れやすくなりますし、逆に、骨盤を後傾させれば、今度は腹筋、胸に力を入れやすくなります。力みのある腕、肩甲骨周りよりも、骨盤の方が動かしやすいという事です。
下半身のトレーニングの場合、基本的にはその逆になります。スクワットやランジなどの場合、直接負荷がかかるのはやはり下半身なので、動かす際は骨盤より先に肩甲骨周りから動かし始めると骨盤の向きも定めやすく、スムーズな連動が可能です。
バーベルを背負っている場合などは肩甲骨を固定する必要があるので一概には言えませんが、基本的には上半身トレーニングの場合は下半身(骨盤)から、下半身トレーニングの場合は上半身(肩甲骨もしくは鎖骨)から動かす事で全身をスムーズに連動させて動かす事ができます。


肩甲骨と共に動きのカギを握る骨盤周辺の筋肉とは?!

上半身の重さがある肋骨は、鎖骨や肩甲骨との連動が大切ですが、人間の身体の中でも特に重さがあり、動きにおいても重要役割があるのが骨盤です。体幹トレーニングのように、中心だからこそ固定して安定させるイメージもありますが、実は動かす事で大きなエネルギーを生み出します。この骨盤の周辺に付着する腹直筋や大臀筋、腸腰筋の働きは、動きの質を高める上で理解しておく事が大切です。
肋骨の下から始まって、骨盤の底に付着するのがお腹の筋肉である腹直筋で、主な役割としては、肋骨を前に倒す動きと、骨盤を後傾させる動きがあります。また、胸の筋肉である大胸筋とは上下で繋がっている為、腹直筋の収縮は大胸筋の収縮を助ける働きがあります。
骨盤の後ろ側に付着するのが、お尻の筋肉の大臀筋で、主な役割としては、脚を外旋させる動きと、後ろに動かす、股関節の伸展動作があります。スクワットの動きなら、しゃがむ動作で大臀筋は伸ばされ、立ち上がる動作で大殿筋は収縮します。(基本的に筋肉が力を出すというのは筋肉が収縮するという事)
脚の大腿骨と骨盤をまたいで脊柱に繋がり支えるのが腸腰筋で、役割として大臀筋と対になるような働きをします。主に、股関節を伸ばす(伸展)のが大臀筋の働きなら、股関節を曲げる(屈曲)のが腸腰筋の働きです。
腹直筋や、大臀筋と腸腰筋はそれぞれが深く影響を与え合う関係にある為、動きの際には、腹直筋をきっかけに大臀筋を動かしたり、逆に大臀筋の収縮、または腸腰筋のストレッチの意識で骨盤を後傾させて腹直筋に力を入れる事も可能です。目的の筋肉の収縮からでは、どうしても力みに繋がってしまうような場合に、別の筋肉から目的の筋肉を動かす。このような使い方も動きの質を高める為に有効だと言えます。


まとめ

ここまで、骨盤の動きについていろいろと見てきました。
先ず、骨盤というのは身体の重さの中心に当たる場所である事を理解しておくことが大切です。それを踏まえて、歩く動作を考えた場合、先ずは重心を前に運ぶ必要があるので、骨盤は前傾させた方が効率が良いという事が言えます。
スポーツの動作、特に球技などでの腰を回すという表現がありますが、ウエストを捻じる事よりも、骨盤自体を回転させる事で大きなエネルギーを生み出す事ができます。
上半身の動きは、肩関節より鎖骨や肩甲骨から動かすと体幹の筋肉を有効活用できるのですが、人間の身体は、筋肉の繋がりから、骨盤と肩甲骨で動きが連動するように出来ている為、スムーズな肩甲骨の動きを出すには、骨盤は固めず、鎖骨や肩甲骨と一緒に動かす事が重要になってきます。
負荷がかかるような動きの際は、上半身に負荷が高い動きの時ほど、動かしやすい骨盤から動かし、下半身に負荷が高い動きの時ほど直接負荷がかからない鎖骨や肩甲骨から動かすと、動きに連動性が生み出しやすくなります。
動きにおいて特に大切な骨盤ですが、自由にコントロールする為には、骨盤周辺の筋肉の役割をしっかり理解しておくことが大切です。腹直筋の収縮は、骨盤を後傾させる役割の筋肉ですが、腸腰筋をストレッチする意識や、大殿筋を収縮させる事でも骨盤を後傾させる事が可能ですし、逆に、骨盤を前傾させるには、その反対の動きをする事が大切です。身体の中心であり、動きの中心でもある骨盤を動かしていきましょう。
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この記事を書いた人岐阜市のパーソナルジム・トレーニングスタジオACTION★ [ アクション ]代表トレーナー

渡辺康二

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